開催 28 回目を迎える『日本ゲーム大賞2024』(Japan Game Awards2024)にて、2024 年度を代表するゲーム作品を選出する年間作品部門の大賞をはじめとする各賞が決定。2024年9月開催の『東京ゲームショウ2024』(TGS2024)にて発表授賞式が開催されました。
こちらの受賞一覧を振り返るとともに、注目の受賞タイトルをピックアップしてご紹介します。
日本ゲーム大賞2024の概要
- 名称:日本ゲーム大賞2024(英語表記:Japan Game Awards 2024)
- 主催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA) Computer Entertainment Supplier’s Association
- 後援:経済産業省
日本ゲーム大賞は、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会が1996年度より開催する表彰制度です。コンピュータエンターテインメントソフトウェアをひとつの文化として捉え、その振興を図るとともに、産業の発展に寄与することが目的となっています。
2024年からは、新たなジャンルやゲーム性を生み出した作品を表彰する『ブレイクスルー賞』、幅広い層にアプローチし実績を残した作品を表彰する『ムーブメント賞』が新設されました。
日本ゲーム大賞2024の受賞一覧
日本ゲーム大賞2024の発表授賞式は、東京ゲームショウ2024のイベントステージにて、2024年9月26日に『経済産業大臣賞』『年間作品部門』が、9月29日に『フューチャー部門』が開催されました。こちらの式典の模様は、YouTubeをはじめ各種配信サイトでも公開されています。
経済産業大臣賞 受賞者
- 経済産業大臣賞:プレイステーション®
年間作品部門 受賞作品一覧
- 大賞:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(任天堂株式会社)
- ゲームデザイナーズ大賞:Viewfinder(Sad Owl Studios)
- 優秀賞:ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(株式会社フロム・ソフトウェア)
- 優秀賞:スーパーマリオブラザーズ ワンダー(任天堂株式会社)
- 優秀賞:ストリートファイター6(株式会社カプコン)
- 優秀賞:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(株式会社カプコン)
- 優秀賞:ドラゴンズドグマ 2(株式会社カプコン)
- 優秀賞:ファイナルファンタジーXVI(株式会社スクウェア・エニックス)
- 優秀賞:ファイナルファンタジーVII リバース(株式会社スクウェア・エニックス)
- 優秀賞:ペルソナ3 リロード(株式会社アトラス)
- 優秀賞:ユニコーンオーバーロード(株式会社アトラス)
- 優秀賞:龍が如く8(株式会社セガ)
- 優秀賞:龍が如く7外伝 名を消した男(株式会社セガ)
- ブレイクスルー賞:8番出口(KOTAKE CREATE)
- ムーブメント賞:スイカゲーム(Aladdin X株式会社)
- 特別賞:ストリートファイター6(株式会社カプコン)
- ベストセールス賞:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(任天堂株式会社)
フューチャー部門 受賞作品一覧
- アークナイツ:エンドフィールド(GRYPHLINE)
- 幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争(株式会社コナミデジタルエンタテインメント)
- 真・三國無双 ORIGINS(株式会社コーエーテクモゲームス)
- ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(株式会社スクウェア・エニックス)
- ペルソナ5: The Phantom X(株式会社セガ/株式会社アトラス)
- メタファー:リファンタジオ(株式会社アトラス)
- モンスターハンターワイルズ(株式会社カプコン)
- 龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii(株式会社セガ)
- レイトン教授と蒸気の新世界(株式会社レベルファイブ)
- ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン(株式会社スクウェア・エニックス)
ブレイクスルー賞は『8番出口』
本年度から新設された賞のひとつ、独創的なアイデアやチャレンジで新たなジャンルやゲーム性を生み出した作品を表彰する『ブレイクスルー賞』には、KOTAKE CREATEの『8番出口』が選ばれました。
2023年11月29日にリリースされた『8番出口』は、地下通路が舞台のウォーキングシミュレータで、ルールは「通路を観察し、異変がなければ進み、異変があれば戻る」だけ。それにもかかわらず、初見では脱出できないプレイヤーが続出しました。
インディーゲームとして開発されたにも関わらず、この独自の世界観やゲーム性などが話題となり、プレイ人口が急増。もともとはSteamのみ対応ということで基本はPCで遊ぶタイトルでしたが、2024年4月にNintendo Switch版が、7月にMeta Quest版が、8月にはPlayStation 4とPlayStation 5版などが発売されるなど、対応機種が続々増えていきました。
『ブレイクスルー賞』に選出された理由としては、「おじさん、禁煙マーク、点字ブロック、広告、指示看板、防犯カメラなどなど、途中で目にするもの全てに疑心暗鬼に。いわゆる大作に値する作品が多い中、地下通路という閉鎖された空間で、異変にいかに気づけるかという極めてシンプルなルールを用いた独創的なアイデアが選考委員会で評価されての受賞となりました。」とのことです。
ムーブメント賞は『スイカゲーム』
同じく今回から新設された『ムーブメント賞』。普段はあまりゲームをプレイしないユーザーを含む幅広い層にアプローチし実績を残した作品を表彰するもので、こちらはAladdin Xの『スイカゲーム』が受賞しました。
今回『ムーブメント賞』に選ばれた理由としては、「都度の判断が要求されるゲームバランスがプレイヤーをやみつきにさせる作品。Nintendo Switch DL 版での発売後、複数のストリーマーが紹介したことをきっかけにプレイヤー数が急激に拡大、プレイヤーによる新技や専門用語が開拓されるなど一大ムーブメントを起こした点が選考委員会で評価されての受賞となりました。」とのこと。
『スイカゲーム』は、同種のフルーツをくっつけて、少し大きなフルーツに“シンカ”させていくパズルゲームです。ルールは単純で、徐々に大きなフルーツへとシンカさせ、スイカの完成を目指すというもの。しかし落ちてくる果物がランダムで、ときに予想しない挙動を起こすことも。一見カジュアル寄りでありながら、1度ハマるとなかなかやめられないオンリーワンの中毒性も持っています。
2021年に配信が開始された作品ですが、ヒットしたのは2年後のことでした。動画配信で話題となり、2023年9月にはNintendo Switchのダウンロードランキングで1位を獲得。その勢いはとどまることを知らず、2023年の年間ダウンロードランキングでも堂々の1位となったほか、全デバイス累計ダウンロード数は約1,100万を記録しています。幅広い層の心をつかみ、爆発的な社会現象を起こしたゲームといえるでしょう。
ゲームデザイナーズ大賞は『Viewfinder』
『ゲームデザイナーズ大賞』とは、日本ゲーム大賞におけるもうひとつの栄誉ある大賞で、トップクリエイターがプロの視点で創造性や斬新性を基準に、最も優れた作品を選出します。
2024年度の『ゲームデザイナーズ大賞』に決定したのは、Sad Owl Studiosの『Viewfinder』(ビューファインダー)です。こちらは昨年度の選考にも挙がっていたタイトルでしたが、アーリーアクセス期間だったため見送りとなっていたとのこと。今回、満を持しての受賞となりました。
『Viewfinder』は、スコットランドのゲーム開発スタジオであるSad Owl Studiosのデビュー作となるパズルアドベンチャーゲームです。そもそも「ファインダー」とは、カメラ撮影時に覗く窓状のパーツのことです。本作では、カメラのレンズ越しに世界を捉えて色鮮やかに再構築しつつ、様々なパズルを解いていきます。
ゲームデザイナーズ大賞審査員長の桜井 政博氏(有限会社ソラ 代表)は、本作の『ゲームデザイナーズ大賞』受賞理由として、「絵だと思っていたものが立体になり、逆に立体が絵になり、トリックアートを実際に歩くようなシステムは、わかりやすくも唯一無二のアイデアでした」とのこと。独創的な表現が評価されての選出となりました。
年間作品部門の大賞は『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』
日本ゲーム大賞2024の『年間作品部門』は、原則として、2023年4月1日から2024年3月31日の間に日本国内でリリースされた全コンピュータエンターテインメント作品が対象となっています。ただし、この期間外にリリースされた作品であっても、その年に話題となった場合は対象に含む形です。各賞は、2024年4月8日から7月19日までおこなわれた一般投票と、日本ゲーム大賞選考委員会の審査を経て、決定されました。
そんな本年度の作品の中から、年間を代表するにふさわしい最高の総合的評価を得た作品である「大賞」を獲得したのは、任天堂の『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』です。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、人気シリーズ『ゼルダの伝説』の最新作となります。大賞への受賞理由としては、淡い水彩画のようなタッチで描かれた広大なフィールドの美しさをはじめ、一新された主人公リンクの能力でシームレスに続く世界を探索できるなど冒険の自由度が格段にアップしていること、仲間との再会や共闘などのドラマなどが挙げられています。一般投票では、幅広い世代の多くのユーザーから熱狂的な支持が寄せられ、本年度の年間作品部門の大賞に輝きました。
本作は2023年5月12日の発売以来、今年6月末までの全世界累計販売本数は2080万本、国内累計販売数は375万本と、対象期間中の最多販売本数を記録し、本年度の『ベストセールス賞』も受賞。『優秀賞』もあわせて、栄えあるトリプル受賞となりました。
期待作が目白押しなフューチャー部門
日本ゲーム大賞2024の『フューチャー部門』は、東京ゲームショウ2024の発表・展示作品のうち、未発売のものだけを対象にした部門です。2024年9月26日~28日に一般の方からのインターネット投票が実施されたのち、選考委員による審査会を経て、「今後が期待される作品」が選出されました。多くのファンを持つ人気シリーズの新作やリメイクを中心に10作品が選出されています。
なお、例年では、フューチャー部門を受賞した作品が、翌年の優秀賞など年間作品部門を受賞するケースも少なくありません。来年に向けて「各受賞作が発売後どのように評価されるか」にも注目したいところです。
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』
スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、1988年にファミコンで発売された人気シリーズの3作目を新たな映像表現でリメイクした新作です。ドット絵と3DCGが融合した表現技術「HD-2D」による懐かしさと新しさを兼ね備えた美しいグラフィックに加え、「主人公の父にまつわる新規エピソード」や「新たな職業“まもの使い”」など様々な新規要素にも期待が集まっています。
2024年11月14日にはNintendo Switch™/PlayStation®5/Xbox Series X|S/Microsoft Store on Windowsで、11月15日にSteam®で発売予定。通常版のほか、収納ボックス付きコンプリートセットの予約も受け付け中です。2025年には、同じくHD-2D版の『ドラゴンクエストI&II』も発売予定となっています。
『モンスターハンターワイルズ』
カプコンの『モンスターハンターワイルズ』は、人気シリーズ「モンスターハンター」の最新作として発売予定のタイトルです。巨大なモンスターに立ち向かうハンティングアクションゲームとして新たなプレイジャンルを確立した同シリーズは、累計販売本数1億300万本を突破。20周年を迎え、世界中から注目を集めるコンテンツへと成長しました。
本作は、刻一刻とダイナミックにその姿を変貌させるフィールドで繰り広げられる、少年ナタと”白の孤影”を巡る、人と自然の物語になるとのこと。PlayStation®5/Xbox Series X|S/Steamにて、2025年2月28日に発売予定であり、各デジタルストアやオフィシャルショップなどで予約を受け付けています。
経済産業大臣賞は『プレイステーション®』
日本ゲーム大賞2024の『経済産業大臣賞』は『プレイステーション®』が受賞しました。「ゲーム市場に大きな変化をもたらしたこと」や「30年の長きにわたり産業をけん引されてきたこと」などゲーム文化への貢献を鑑み、携わった全ての方に敬意を表しての選出となっています。
従来のゲームソフトのメディア形式と言えば、ロムカセットが主流でした。そこでプレイステーションがCD-ROMを採用により高騰していたソフト価格を下げる後押しとなったほか、コンビニなど新たな販路を活用することで、ゲームファンの層を広げました。さまざまなゲームメーカーやタイトルの参入でも一世を風靡。据え置き型として初めて世界累計出荷台数が1億台を超えるなど、日本のゲーム産業の発展に貢献したハードのひとつです。
2008年に設立された『経済産業大臣賞』は本来、ゲーム産業の発展に寄与された人物や団体などを対象とする賞となります。
過去には、家庭用テレビゲームの黎明期から『スーパーマリオ』『ゼルダの伝説』など数多くのゲームを手掛けてきた宮本 茂氏(任天堂株式会社)らが受賞。今回のプレイステーションは、2023年受賞の『ファミリーコンピュータ』に続き、ゲーム産業の礎への貢献が高く評価されての受賞となりました。